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Movie・ムービング


 温かい日差し。光あふれ、希望に満ちた春の日。
 先輩。お元気ですか?
 あれからもう、一ヶ月経ちました。 
 今日は新入生の入学式です。
 最後の思い出にと無理矢理、就職準備も忙しい中わがまま言ってゲスト出演(と、言うよりもあれは主演?だったカナ。私の相手役♪でね)してもらった映画部の新入生歓迎用のフィルム。
 その三回目の上映・・・、最終回。
 暗闇の中、まわりつづけるフィルム。もう、その残りもあとわずか・・・
 この間、送った案内状。届きましたよね。観たかったな、先輩と一緒に・・・
 あはっ。私ったら何勝手なことを言ってるのかしら。判ってるはずよ。先輩だって忙しいんだから。
 でも、やあ〜っぱり残念!
 この映画のラストシーン、覚えていらっしゃいますか?
 そう、ラストシーン−−−−

 カラン、カラララン−−−−−
 フィルムが終わり、完全に巻ききったそれが空回りして静かな映画館にそんな音が響く。
 それは何か寂しい、もの悲しい音だった。

<ホラ、これから出てくるこのシーンよ。>

 舞台はある古びた映画館。
 ヒロイン役の私は一人、昔ある人とした約束を果たすためにそこへ行くの。
 その人は船乗り。
 五年前、その映画館で始めて会ったの。一日だけの寄港。
 偶然に巡り会い二人、目と目を合わせそこに何かを感じ、何かを確信する。
−私が求めていたのはこの人− だと。
 けれども、運命とははかないもの。
 五年後、再びこの場で会う約束を残して、彼は海へと戻って行ったわ。
 そして、約束の日。
 私は待った。その映画館で。
 朝の第一回目の上映から三回目、五回目・・・と。
 けど、彼はなかなか来てくれない。 
 その日の映画上映の最終回。
 フィルムもあとわずかで終わる。

<やぁ〜だなあ。まるで今の私と一緒だわ。
 まあ、ここまではそりゃあ一緒かも知れないけどね。
 映画のこの続きはやっぱりハッピーエンド♪へと向かう。>

 終わった、全てが。そして彼は来なかった。
 唇をきゅっと閉め、瞳からこぼれ落ちそうになる涙をこらえながらあきらめ、映画館の席を立ち出口へと向かう。
 しかし、その時。
 どんっ!
 ご、ごめんなさいっ!
  ヒロインの私、ぼーっとしてて誰かにぶつかっちゃた。
 そしてとっさに謝ったりなんかする。
 けどその人、私の肩を両手で、逞しい腕でぐっと掴み胸へと引き寄せた。
 ふっ、と何か懐かしい風が二人の間を吹き抜けた。

<あ〜あ、いいなぁー。やっぱり所詮は映画。ラストは結局何だかんだって言ってもこううまくいくものなぁ。>
 カラン、カラララン・・・・・・
 とうとうこっちのフィルムも終わっちゃった。
<しかしホント、現実はキビシイなぁ〜。>

 けれどもその時、ぐっと後ろから私の肩を掴む人がいた。
<ま、なさか!そんな・・・・・>
 私、とっさに振り向いた。
 けどー、なぁ〜んだ。同じ部の親友のクーコちゃんじゃないですか。
 期待半分、幻滅大打撃・・・。
 でもそのクーコの後ろから・・・・・・・・・・
 クーコ、にこっと微笑みその人の背を押し、私の方へ。
「先輩っ!」
 ポカポカ日和の春の日に、現在進行形の映画体験。
 ムービー・Movingな幸せのひとときでした。                        




平成3年度から始まった部の新たな試み。
 部誌『NEUOTIC』の別冊として一つのテーマに基づいて、ものを書くという『別に・・・』がスタート。
 『別に・・・』は、別冊NEUROTICの略。タイトルを決めるときに、「別に・・・何でもいいや」、誰かが言った一言が、「お、それ、ちょうどいいんじゃない?」とそのままタイトルになってしまいました。(笑)
 そして、その第一弾のテーマが『映画』でした。
 私はあまり映画を観に行ってないので、他の人は好きな映画の話でも書こうか、なんて言ってましたが、どうしよう?と困ってしまいました。
 う〜ん、どうしようと、悩みましたが、ここは逃げずに、本来の小説でいこうと思い書きました。
 ま、シチュエーションは全然実際と違いますが、前年度に卒業した先輩のことを思い、ダブらせながら書きました。
 入部したときから随分とお世話にお世話になったこともあり、自分もこの出来上がった冊子を是非見てもらいたいと思ったからです。
 しかし、『短編』といってもこれだけ短いのを書いたのは初めてでした。
 いつもついつい長くなってしまうもので。。。。
 ただ、短いだけに場面ん切り変わりが早過ぎて、主人公の女の子が実際にいる空間と、その彼女が演技で出ている映画の空間との区別が読み手側に判りづらかったらしいことが反省です。

☆H3.5/1『別に・・・』第1号に掲載


みやびやまちゃんの(^^)//と、いうわけ(再編集後記)
 いやぁ〜、最近はこのころと違ってめっきり映画に行くようになっちゃいました。
 特にここ数年、通信で大学に行っていたこともあり、なんと『学生証』があったわけ。
 もち、映画は『学割』!!
 窓口のお姉さんにじろじろと、見られながらも一応学生?ということでパス。
 通信の大学は、科目のレポートを書いた翌月に最終科目試験があるんですよね。
 それが1科目だったり、2科目だったり。
 で、朝からテスト受けたら、昼からがちょうど昼ごはんにハンバーガーなんか食べながら映画三昧♪
 ん〜、やはり最近のベストはその単純さでとっても感情移入できた『タイタニック』かなぁ〜。
 あと、リニューアルされ大人も楽しめるようになった『ゴジラ』『ガメラ』なんかも面白かったよ。    1999.5/19

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